いわて県南の旅・web情報誌 ゆいたび

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昔の人々の暮らしや
地域の歴史とともに
先人たちの想いを今に伝える

太田 祖電さん
碧祥寺博物館
館長 太田 祖電さん

旧沢内村にある、およそ350年の歴史を持つ碧祥寺の境内には、国の重要有形民俗文化財を含む貴重な民俗資料を収蔵した碧祥寺博物館があります。収蔵品は館長で碧祥寺住職である太田祖電さんが何年もかけて収集したもので、当時の生活や地域の歴史、モノに込められた先人たちの想いを今に伝えています。

昔の道具からも 教わることが多い

雪の生活館看板

 碧祥寺の境内にある碧祥寺博物館は、民間信仰や芸能などに関するものを集めた第一資料館、農機具や馬具、台所用品などを集めた第二資料館、雪に関する書籍などを展示している第三資料館、マタギ収蔵庫である第四資料館、雪国生活用具収蔵庫である第五資料館の5つの建物で構成されています。

 「私が旧沢内村の教育長だった昭和38年に、当時の文化庁から民俗資料の収集と保存の要請があり、いろいろな経緯で私が個人で収集することになったんです」と太田さんは当時を振り返ります。

 民俗資料を調べているうちに、東北地域限定の「マタギ」に関するものが特に重要だと気付いた太田さん。その文化が根付く東北6県と新潟を歩き回り、マタギに関するものはもちろん、それ以外の民俗資料を集めてきました。

 「今という時代を生きている人たちにとって、昔の道具はガラクタみたいなものに見えるのでしょう。もらいに行くと、逆に喜ばれましたよ。時には『引き取ってくれ』と持ってくる人もいました。でもこれらの一つ一つには当時の人たちのいろいろな想いが込められていて、私たちに教えてくれることも多いと思うのです」と太田さんは静かな口調でその価値を訴えます。

国の重要有形民俗文化財 2200点を所蔵

 実際、同館の収蔵品およそ1万5千点のうち2200点は、国の重要有形民俗文化財に指定されているものです。

 その一つ、一本の杉をくり抜いて作られた『沢内丸木舟』は、現存する日本唯一の川の舟として昭和39年に指定されたもの。100年ほど前、旧沢内村猿橋の和賀川で河川工事用の石や木の運搬に使われていたそうです。

 この舟と一緒に第四資料館に収蔵されている486点のマタギ狩猟用具も、昭和53年に重要有形民俗文化財に指定されました。

 「マタギというのは厳しい作法の中で狩りを行っており、一般的な猟師とは違うんですよ。旧沢内村では北部に、代々マタギを生業とする人たちが集まる『マタギ集落』がありましたが、昭和20年代で絶えてしまいました」と太田さん。それでも、これらの珍しい狩猟用具や山の神を祀ったものなどを見ているだけで、沢内の人たちの暮らしが山とともにあったことがわかります。

 また、第五資料館に収蔵された雪国生活用具からは、この町を含む雪国の暮らしぶりが生き生きと伝わってきます。用途によって形が異なるソリ、馬の足洗い桶、ワラビの根からデンプンをとるための道具など、1792点の収蔵品は昭和61年に重要有形民俗文化財に指定されました。「これらを見ると、昔の人たちの不便さがよくわかります。でもそんな中でも工夫して生活してきたんです。そんな先人たちの叡智を感じてほしいですね」と太田さんは願っています。

碧祥寺博物館 山門碧祥寺博物館

◆碧祥寺博物館

館長で碧祥寺の住職である太田祖電さんが集めた民俗資料1万5千点を、5つの資料館に分けて収蔵。その中には、現存する川舟として日本唯一の『沢内丸木舟』や、マタギの狩猟用具486点、雪国の生活用具1792点といった国指定重要有形民俗文化財も含まれています。ほかにも、本堂の大壁画や写経画、泰安殿の大正天皇御遺物など、見どころにあふれています。

■所在地/岩手県和賀郡西和賀町沢内太田3-32
■開館時間/9時~17時
  休館日/火曜日、12月29日~3月31日
■電話/0197-85-3330
■駐車場/有り
■入館料/小・中学生200円、高・大学生300円、大人500円
※それぞれ団体割引有り